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なんとかしないと!! |
その度に、なんて毛深いのだろう。とため息をつきました。
見れば見るほど濃くなっていっているような気がして怖くなり、見るのをやめようとも思いました。
でも、どうしても気になって見てしまいます。
なんとか目に入らないようにそっと教科書やノートで腕を隠したりもしました。
でもやっぱり教科書やノートのすきまから見てしまうのでした。
「なんとかしなくては」
子供心にそう思いました。だけど具体的な考えは何も浮かびませんでした。(浮かんでくることといえば、魔法であっというまにキレイに毛がなくなる、ある朝目が覚めたら腕の皮がつるりと毛ごとはがれていてスベスベになっている、といったたぐいの現実離れした空想ばかりでした。)
そんな私がただひとつひらめいた具体的な方法が、ずばり、「カミソリ」だったのです。
その日学校が終わって家に着くと、母は、まだパートから帰っていませんでした。
一人で家の鍵を開け、中に入り、まっさきにカミソリを探しました。
家中の戸棚や引き出しを開けて探してみましたが、見つけられませんでした。
おそらく母が、子供の手の届かないところに隠していたのでしょう。
しばらくして帰って来た母に思いきって訊ねてみました。
「おかあさん、カミソリどこにあるのん?」
「カミソリみたいなんなにすんのん?」
「毛、剃るねん」
「何あほなこというてんのん!!毛みたいなもん剃ったら絶対あかん。
剃れば剃るほど濃くなっていくねんで。やめとき大変なことになるで」
母は、おどかすように強い口調で私にそう言ったのです。
私は、その時の母の言葉をうのみにしていまいました。
そして、自分の全身の毛がどんどん濃くなっていき、ついにはジャングルの密林地帯のように 毛という毛がうっそうと生い茂る光景が浮かんできて、ぞっとしたのです。
それで「カミソリ」は、あっさり、あきらめました。
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